中間考査 成績順位
1位 跡部景吾
2位 忍足侑士
3位 滝萩之介
4位
でかでかと、廊下に貼り出された紙
その前で人がたくさん集まっている
私はその順位を見やるとさっさとその場を通り過ぎた
EMBLEM
すっかり遅くなっちゃったな、と辺りを見渡せば、真っ暗で
鞄のポケットから鈴がついた自転車のカギを取りだした
時刻は7時前
この時間でも学校に残っているのは男子テニス部くらいだろう
自転車を出して、校門まで押していると、案の定テニスコートからボールの跳ねる音が響いていた
「あ、宍戸くんだ…」
何気なく見れば、クラスメイトの宍戸亮の姿があった
汗だくになりながらボールを追いかけ、ラケットを振っている
もう、行こう…と思い、背を向けて自転車を押し出すと、ボールの音が鳴り止んだ
「くそっ!」
バンッと何かを叩いたような音がする
コートの中には三人
宍戸くんと試合をしていたのであろう跡部くんと、
それを見守る鳳くん
そして…私が今まで見たことのない宍戸くんがいた
「バーカ、てめぇはもう終わってんだよ」
荒い息を繰り返す宍戸くんを上から見下ろし、跡部くんが言った
「……ただ、ダブルスでならてめぇの努力報われるかもな」
誇らしげな跡部くんに、鳳くんが頷いた
「じゃあ、プリント配るからな。
これ終わってから自習にしろよ」
この日の二時間目は自習だった
数学の時間で、正直ラッキーだったが、
課題に、と出されたプリントは簡単すぎて話にもならなさそうだ
前の席の人からプリントを受け取り、自分の分を一枚取って後ろへ回す
「…?」
いつまでたっても後ろからプリントを受け取る感覚が無くて、
後ろを振り向くと、後ろの人は寝ていた
「…寝てる」
仕方なく、彼の分を一枚取って、もう一つ後ろの席に回した
「…ここ、置いておくからね。宍戸くん」
聞いても返ってくるのは寝息だけ
小さく吐息をはくと、机の隅にきっちりたたんで置いてやった
ざわざわ、と騒がしい教室の雰囲気など無視して、問題を解いていく
途中、ここ見せてほしいんだけど、と近づいてきた女子をキツく睨み追い払った
陰キャラ、とか思ってるんだろうな…
鼻で笑い、プリントをたたんだ
思ったとおり、この程度の問題、30分もかからない
特にやることもないので、鞄から読みかけの本を取り出した
すると、つんつん、と後ろからつつかれる
また答え見せて、とうざいやつか…とうんざりしながら振り返ると思いがけない人物だった
「…宍戸くん」
「あー…悪ぃ。…もしプリント終わってんだったら、ここ教えてくんねぇか?」
「…それ、完成させるつもり?
先生、提出しなくても良いって言ってたよ」
「でもこれ中間の範囲だろ?」
たいていの男子なら、提出しなくてもいいと聞くけばすぐさま解くのをやめるのに、
宍戸くんは違った
そうだ、彼はそういう人だった
妙に熱血なところが少しあって、真面目で良い人
話したことなんてほとんど無いけれど、わかった
いつも、見てたから
「…は?」
「は?じゃなくて。ちゃんと教科書読めば分かるでしょ。53ページ」
「あーっと…あ、これか。…お前、すげぇな、ページまで覚えてんのか?」
「・・・別に。たまたま」
「いつも成績良いもんな。その真面目なとこ、尊敬するぜ」
にかっと笑ってさらりと言葉を紡ぐ宍戸くん
何だかこっちまで調子が狂ってきそう
「私も、宍戸くんのこと尊敬するけどね」
「冗談言うなよ。俺はお前に尊敬されるようなところ、1つもないぜ?」
「…どれだけ上から握り潰されても、屈しないよね」
顔を上げた宍戸くんと目を合わせたくなくて、
宍戸くんが間違っているところを直してやりながら続けた
「傷だらけになって、泥だらけになって。
でも跡部くんみたいな人に踏みつけられても全然こりない。
…跡部くんが、憎いと思わないの?」
正しい答を書いて、宍戸くんに渡した
最悪だ
無様
ずっとお腹の底に溜めてた思いを関係ない人にぶつけてる
「お前…跡部が嫌いなのか?」
嫌いなわけじゃない
憎いだけ
「人間はみんな平等って言うけど、違うでしょ?
跡部くんは元から才能ってものを持ってる。でもそれをひけらかして、
宍戸くんのことまで上から目線であしらってる。
そんな人の傍にいて、よく耐えられるなって思っただけ」
「…」
「本当は、ずっと見てたの。宍戸くんのこと。
上から潰されても、何があってもただひたすらボールを追いかけてる姿見るのが好きだった
正面から、自分の想いぶちまけて、正直に生きてる宍戸くんが好きだった
でも、跡部くん見てると…宍戸くんのことバカにしてるみたいで…、
嫌い…跡部くんなんか嫌い…」
「!」
大声で怒鳴られ、手首をつかまれた
びっくりして前を見ると怒った宍戸くんの顔
「…お前の口から、そんな言葉聞きたくねぇ」
「宍戸く…」
「跡部は、お前が思ってるようなヤツじゃねーよ。
確かに俺様で嫌なやつって見られるかもしんねぇけどな、あいつだって苦労して、努力もしてんだ。
……跡部のことを妬むこともある。あいつが元からテニスの才能があるってのも認めてるからな。
でも、あいつを嫌いになったことなんか一度もねぇ。」
ごめん、と呟くと少し赤くなった私の手首を離した
「お前に…俺の仲間のことを悪く言われるのだけは、勘弁してくれ…」
「…嫌なやつ、とか思ってるんでしょ。私、陰キャラだからね」
「お前が陰キャラ?…ははっ、何だそれ」
人にどう思われてようと、良いじゃねぇか
俺は、お前の味方だし、お前も俺の味方なんだろ?
お前がどう言われてようと、思われてようと、
俺にはそんなの関係ねーよ
『関係ねーよ
俺は、お前のこと…好きだからさ』
そう言って照れくさそうに笑いながら言った
この人を、好きになりたい
心からそう思った日だった
意地っ張りな自分にさよならして
明日からは少しだけ笑ってみようか
あとがき
宍戸さんお誕生日おめでとー!!
今年も、お祝いさせていただきました!
誕生日のたの字もないけれど…(笑)
今年も、爽やかですっきりとした宍戸さんを目指したつもりです。
EMBLEMのCMで宍戸さんが「そんなの関係ねーけどよ」って言ってたのが何か妙にツボりましてですね。
ちょっと言わせてみました
宍戸さん、改めてお誕生日おめでとうございます
これからもテニプリのお兄ちゃんでいてくださいっ♪