幾度も見つめ続けただけの携帯電話
坂道から転がり落ちるようにして生まれたこの感情に振り回されてばかり
膝小僧に顔をうずめて、時計の針の音に耳をそばだてていた
その一言が欲しい
不規則に聞こえてくるボールの音
柔らかい朝の光に照らされたテニスコート
足を踏み出せば、そこには宍戸がいた
はにかんだような笑顔が少しくすぐったくて
想いが通じ合ったばかりの恋人たちのように小さく笑った
「おはよ」
「随分早いじゃねぇか。目覚まし時計、直ったのか?」
「おかげさまでね」
数日前、壊れた時計を持って来たら宍戸の拳によって直され、
自転車の鍵を失くしたといえば辺りが真っ暗になるまで捜してくれた
実の兄のように面倒見がよくて、スポーツも出来る宍戸は当然人当たりも良い
たまたま、三年間クラスが一緒になって、何度も席が隣になっただけ
そんな関係だった
ただ、それだけ
――――――多分
「宍戸」
「ん?」
愛用のスポーツタオルで汗を拭う宍戸の隣を歩きながら呟いた
頭に響く自身の鼓動は、限りなく速い気がする
昨日の夜から何度も思い描いていた台詞
家族に訝しげな表情で見られようと、愛犬に吠えられようとも言うつもりだった
「あの・・・・・・ね」
遊びに行こうって、誘って・・・?
たったその一言だけ
でも、いざ本人を目の前にすると何も言えなくなって
宍戸が本当に自分のことを嫌いだと思っていないか
こんなこと言って嫌われはしないだろうか
前に読んだ少女漫画の心理描写にそっくりで
自分でも自分を疑った
でも、宍戸が好きだと気づいた気持ちは変わらなくて
気持ちだけがハッキリしている自分がとてつもなく恥ずかしかった
「お前、今日なんか変だぞ」
「・・・っ///」
無意識的に頬に触れた手
ほんの少し潤んだ瞳と赤くなった頬が宍戸の目に入って―――――固まった
「そんな顔・・・すんなよ///」
「そ、そんな顔ってどんなよ!!///」
「ばか!んなもん言えるか!///」
お互い顔が真っ赤だと責め合っていたものの、常識人の二人に時間はやっぱり気になるらしく
ゆっくりと、教室に向かって歩き始めた
「アホらし。やめよーぜ」
「そうだね・・・」
宍戸のアホらしい、という言葉に気持ちがふっきれていった
「確かに、アホらしいかもね」
昨日はあんなに悩んで、悩んで・・・
宍戸が自分と同じ気持ちだったら良い、とか
気持ちを少しでも良いから確かめたい、とか
もう、どうでもいいや
「、いこーぜ」
「うん」
私の目の前には、笑って振り向いてくれるあなたがいる
例え私が遅れをとっても、必ず振り向いて待ってくれるあなたが
待ってて、すぐに追いつくからね
あなたの隣で笑って肩を並べていたい
ずっと、ずっと――――ね
あとがき
色んな想いを込めて作りました。それだけは確かです!(必死)
誕生日の「た」の字も出てきてないけど、宍戸さんの大らかさだけは伝わるというか・・・。
何つーか、宍戸さんは普通に中学生らしい青臭い青春を送ってそうだなー、と。
頑張れ、宍戸さん!君の未来はきっと明るいぞ!
この主人公ちゃんは管理人と同じく誘い下手です。
誘い下手なのって、相手に自分から誘ってることが嫌だと思われてないか不安なんです。
なので、わざわざ相手に確認したりして?と思われてたりします。
この主人公ちゃんは、悩むなんてお前らしくねーぞ、みたいな宍戸さんの純100%の爽やかさに
もう悩むのアホらしいや、みたいな感じでふっきれちゃってますが・・・。
宍戸さん、誕生日おめでとうございます!
これからも氷帝のお兄ちゃん、私の心のお兄ちゃん、氷帝ファンのお兄ちゃん的存在で居てください。
Happy Birth Day!! to Ryo Shishido
2006.9.29