「いやぁー・・・せやけど、ホンマにうちの圧勝やったなぁ・・・」
「ってか向こうが弱すぎってのもあるよな」
「(後半部分バテてた人に言われてもな・・・)」
「何ブツブツ言ってんだよ、日吉」
「・・・何でもありませんよ」

「しっかし、暑いな、今日は・・・」
「最高気温24度まで上がるらしいですよ。宍戸さん、タオルを・・・」
「お、サンキュ長太郎」

「おいジロー、歩きながら寝てんじゃねぇ」
「そんなこといったってさ〜跡部〜・・・。今日めちゃくちゃあったかいんだもん〜・・・」
「暑いの間違いだろうが・・・」
「ウス」


炎天下の中で試合をしてきた彼らは、ようやく癒しの楽園へとたどり着いた
いや、正確には我らが母校の部室、なのだが。
最新技術が詰まったその部屋にはクーラーなんてあたりまえ。
そして、宍戸の妹であり、マネージャーであるもそこで待っている


「戻ったぞ。あーん・・・?どこに行きやがった、あいつ・・・」
「書きおきあるじゃん」
「まさか、跡部の横暴っぷりに家出ちゃうか・・・!?」
「一理ありますね」
「ある訳ねぇだろ、お前ものるな、日吉」
「えぇと・・・榊監督に呼ばれたのでちょっと出てきます。校舎に行ったみたいですね」


部室の中はシンと静まり返っていた
だが、レギュラーが帰ってきた時の為に椅子がキチンと並べられ、冷えたドリンクも置かれていた
そして、一枚の紙も


「・・・何だ、これ」
「強化合宿のしおり・・・。おいおい、強化合宿なんてやんのかよ!?」
「あぁん?・・・あぁ、もう出来たのか。こういう仕事は早ぇな、アイツ」
「ちょぉ待ってぇな。何勝手に跡部とちゃんで決めてんねん」
「所詮お前らに拒否権はねぇ。言っても無駄だ」
「うわ、ひっでぇ・・・」
「横暴だC〜」
「丁度いい、あいつが帰ってくるまでに全員、目を通しておけ」
「仕方ありませんね・・・」





「丸い字…」
「文句あるなら俺の妹に作らせんなよ、跡部」
「フッ…誰も嫌だとは言ってねぇだろ?」
「なんやノロケかいな…」
「跡部―…、水筒の中身は何でもいいってマジー?」
「…まぁ、俺も鬼じゃねぇ」
「マジかよ!?…っしゃあ!」

「珍しいですね、跡部さんがそんなことを許すなんて」
「………別に。たまたまだ、次はねぇぞ」
「景ちゃんはオレンジジュースやんな〜?」
「…殺すぞ」
「うわ、こっわぁ…!」
「でも跡部のやつ、いつもオレンジジュース飲んでんじゃん。
 オレンジ、グラスにさしてさー」
「割とメルヘンな趣味なんやでぇ」
「…ほう?なら忍足、てめぇは何持ってく気だ」
「俺か…?…ミックスジュース」
「…………」
「え、何でここで沈黙なん!?」
「あー…まぁ、生活共同組合のやつは、美味いよな」
「この際順番に行ってこーぜ」


せーの

ドリンクといえば?


「…和歌山から産地直送で送られたもぎたて絞りたてのオレンジシュース、だな」
「せやから…ミックスジュース?」
「俺は…アールグレイですね。紅茶の香りって落ち着くんです」
「俺ー…?ホットミルクー…」
「は?普通に…茶」
「梅昆布茶ですね」


「カルピス…です」



は!?


「そういえば樺地、お前カルピスが好きだったな」
「ウス」
「そ、そら随分可愛いもんが好きやねんなぁ…」
「ま、まぁ好みは人それぞれだし…」
「紅茶はいいですよね?宍戸さん」
「あ?あぁー…まぁ、美味いよな。なんだっけ…三角形のやつだろ」
「三角形…?」


わいわい、と賑わい始めた氷帝陣
お前ら、静かにしろ!と跡部が言おうとすると、扉が開いた


「…えっと…、残念なお知らせが…」



『ドリンクはスポーツドリンクのみだ。
 不意に蓋が外れて中身が零れた場合を想定すると、中身はジュースではないほうが良い。
 よって、水筒の中身自由案は廃止だ。以上だ、行ってよし!』



「…だって」


こうして、水筒の中身自由案はものの見事に廃止となったのだった