冗談じゃない、修羅場はごめんだ
そんな私の気持ちを悟ったのか、仁王の笑みがこちらに向けられる
「…おるよ」
こいつ、マジで殺す
仁王への殺意が芽生えた
「その子……、いつも一緒にいるのね」
「俺の女じゃけぇ、当たり前じゃ」
「はっ…!?何ほざいて…」
「…いつから、付き合ってたの」
「さぁのう…、覚えちょらん」
全く介入させてもらえない雰囲気
いや、出来れば介入したくないけど
ただ、ありもしない出来事を自慢げに話すヤツの目が気に食わなかった
「私を……私の気持ち知っててそういうことしたの?」
「…知らんぜよ。お前が勝手に勘違いして舞い上がっただけじゃ」
「…ひどいっ…」
女の子の瞳から涙が落ちた
古い屋上の床に落ちて、シミをつくっていく
「その子はどうして特別なの!?普通の子じゃない!…だって、わ…」
「お前のそういう自意識過剰なところがうっとうしい」
「…っ」
「言葉にはせんでも、自分のほうが優位だって目で言っちょる。
自分でも、気づいてないじゃろ?」
全く関係のない私までもが震えた
仁王の冷たい声に
仁王の冷たい瞳に
この人は、誰だろう
私の知ってる仁王じゃない
私の見てた仁王じゃない
仁王じゃない
「仁王…?」
不安になって、自然と声が漏れていた
小さな私の呼びかけに、彼は気づいた
にや、といつもの笑みを私に向け、私を安心させたのも束の間
「…っ!?…ん」
「…っ!」
「これでええんか?見たかったんじゃろ?自分がフられたところを
この通り、俺には女がおる。それが嫌なら、自分で絶ちんしゃい」
「そうさせて貰うわ」
ぎっと強烈な睨みを利かせて、去っていった
再び、流れ出す時間
何事もなかったかのように仁王は平然としている
さっきは何が起こったかわからなかった
ただ、感じたのは彼の冷たい腕とは正反対の暖かくて柔らかいもの
それが唇に触れた
「…な、なにすんのよっ!!」
「…随分インプットに時間かかっちょったな。データが重いんか?」
「ふざけないで!私の…私のファーストキス奪っといて…!」
がっと胸倉を掴んで、睨み倒す
この状況ではさっきの女よりも自分の方が睨み具合はすごいように思えた
仁王は、少しふてくされたような顔をして、すぐにまた余裕の笑みに戻った
「…初めてのキスは甘くて優しいもんだと思っとったんか?
期待に添えられんで悪いのう」
力の限り、頬を叩いたつもりだった
だが、仁王は軽く頬を手で抑えただけで、何も言わなかった
「仁王がそんなやつだと思わなかった…
金輪際、私に近寄らないで!」
手に持っていた包みを仁王に向かって投げつけると、
屋上を後にした
毎日屋上に通うという私の日課は、消えた
アトガキ
仁王さんがどんどん訳わかんなくなってきました…
伏線引きすぎたのか、不思議仁王が成功したのか、訳わかんないです(笑)
次のお話から、立海陣出張りますv