晋助が煙管の灰を落とした音だ
そう思ってけだるい体を起こすと、
窓辺で煙管をくわえる高杉がいた
「よォ・・・元気そうじゃねぇか」
「元気じゃないわよ、全然。体中バキバキ」
「ククッ・・・年寄りか?」
「誰のせいよ・・・」
枕もとに置いてあった着物を羽織ると、身を起こした
腰が特に痛く、それもこれも目の前にいるヤツのせいだと思うだけで怒りがふつふつ湧いてくる
けれど、それは激しく愛された証
壁にかかる鏡に映った自分の裸体に散る紅い華は無数に存在し
時折紫のものもあった
「何で窓開けてるの?」
「・・・雨が降ってんだろうが」
「それ、おかしくない?」
耳をすませばたしかにしとしと、と雨の音がする
土に水が混じるような雨特有の匂いが鼻をついた
「晋助・・・雨、嫌いじゃなかったっけ?」
「・・・気が変わった」
気が変わった
この一言にどれだけ私の人生が左右されてきたんだろう
北の地まで赴いたこともあったっけ
幕府の目から逃れるために各地を転々として、今は京都にいる
高杉が行く、といえば置いていかれ、家を暖める存在だった
それ以上望むことなどない
あなたが帰ってきてくれるなら
―――オメェも飽きねぇ女だな
ある日、そう言われたことがあった
たいていの女は、置いていかれることを寂しいと言い、
自分のようにあまり構ってやらない男はつまらないと言うらしい
抱かれるだけの存在
時にはひどく抱かれることもあった
物をもらったことさえない
誕生日でさえ知らないだろう
けれど、
初めて私を愛してくれた人
どれだけ激しく抱かれても愛してるの一言で許してしまう
旅立つときには必ず行って来る
戻って来たときには必ずここへ
それだけで十分
「私も・・・雨、好きだよ」
雨の音が、全てを閉ざす
この世にあなたと私、二人だけ
「晋助・・・?」
「もう一回、抱かせろや・・・」
抱きついてくるあなたは少し可愛い
そんなあなたのちょっとした癖を知ってる私は少しだけ優越感を持ってしまう
あなたが帰ってくると約束したこの場所で
あなたのことだけ考えて待っています
まるで、
捨 て ら れ た 猫 の よ う な
恋だけど
あとがき
前回のweb拍手夢の中では個人的に一番好きなものでした
この背景も見つけたときコレだーッ!って思いましたよ
晴れてますけどね、コレは(笑)うん、結果ってことで!
どうも右寄せ文は読みにくいのではないかと思っているのですが…どうでしょうか?