「あぁー…もう、誰だよォォ!!俺の可愛い妹に菌なんざ埋め込んだのはァァ!!」
「いや、局長。その言い方何かが間違ってるから」
真選組血風帳
8.石が流れて木の葉が沈んだ…アレ?おかしくね?
「じゃ、トシ!本当に任せたからな、マジで本当に任せたからな!」
「わかったから、早く行け…」
「ちょっ、何その態度ォォ!?俺マジでのことが心配で心配で…」
咳の音が聞こえた
途端にぴたりと近藤の声が小さくなる
土方に押されて、ようやく出掛けて行った
「嫌だな…」
自分の声がやけに響く
ふと枕元に置いてある果物やらぬいぐるみやら見舞いの品を見て小さく笑った
「」
障子が開き、土方が姿を現した
今日は珍しく隊服ではないことからオフであることがわかった
「土方さん…」
虚ろな目で見上げた
ひやりとした手が額に触れる
熱も少し出ていたため、気持ち良い
は、朝から熱を出していた
元々体が弱いので、風邪などは容易にひいてしまう
けれど、土方にはそんな理由で寝込んでいるようには思えなかった
「土方さん、オフですか…?」
「あぁ。…ちっ、また上がってきたか?」
「ふぁい…」
「寝とけ。傍には居てやる」
「…土方さん」
「あ?」
「何でも…ないです…」
宇宙怪獣ステファンのぬいぐるみを手渡されて、それに顔をうずめた
じわぁっと目頭が熱くなる
変なの
別に悲しいことなんてないのに
きっと熱が出てるからだ
そう言い聞かせて布団を頭から被った
「土方さん」
「寝とけって言っただろうが」
「山崎は…?」
カチッという音がした
こっそり布団から顔を出すと、土方の背中が見えた
縁側に座り、タバコの煙を吐く土方はを気遣ってか背中を向けていた
「土方さん…」
繰り返すと、ぎしっと床がきしむ音が聞こえた
再びつむっていた目を開くと、タバコをくわえた土方の顔が見える
「仕事だ。あいつには新しい任務を渡した」
「…今日、帰ってきますか?」
「さぁな。任務が終われば帰ってくるだろ」
「そう…ですか…」
土方さんがいるのに、心のどこかがぽっかり穴が開いてるみたい
「土方さん」
「寝ろって何回言えば…」
「治ったら、遊びに連れて行ってくださいね」
「…覚えてたらな」
「じゃあ毎日言います」
「…しつけぇ」
「へへ…たまには…、甘えさせて…ください…」
「お前の場合、いつものことだろうが」
ぐに、とほっぺたを軽くつねった
ほんのりと上気している頬に、涙の筋が出来た
「お前も…デカくなったもんだな」
「今までどんな風に見てたんですか…?」
「見かけは今も昔も大して変わらねぇが」
「怒りますよ…」
「説得力ねぇな」
柱の影から、ちょろりと覗く小さな顔
手を伸ばせば怯えたように兄の背に隠れる
それでも
少しずつ、言葉を話したり
少しずつ、なついてくる様は
妹みたいで愛しかった
「絶対ですよ」
「わかったから、寝ろ」
「ふふっ…おやすみなさい…」
「あぁ…」
だからこそ、守ってやりたい
多少、複雑な気持ちでも
「総悟」
庭の影が小さく揺れる
「話せ」
「嫌でィ。土方に話すくらいなら舌噛んで死んでやりまさァ」
「…こいつは、武州に帰す」
パシン、と勢いよく障子が開いた
外は寒くて、沖田の頬が少し赤くなっていた
「そんなこと、絶対にさせやせん」
あとがき
土方さんonlyで書きたかったのに、総悟が出てしまう自分の甘さ
今回は山崎、出張中ですねー。