「おはよ」
太陽の光がまぶしい
薄目を開けたまぶたに容赦なくさしこんでくる
「寝てた…か?」
「うん、ぐっすりと」
少しずつ戻ってくる感覚
生温い風に乗ってやさしいにおいが鼻をかすめた
「……っ!」
「…ひさし?」
何気なく伸ばした手が柔らかいものに触れて、
驚きのあまりしばらく手を動かせなかった
「だっ、なっ、…わ、悪い!」
「う、ううん…」
がばっと起き上がって、少しよろけながら立ち上がり、
今まで自分の頭があった場所を見遣った
少しシワになったそれを延ばす
眠っている間、心地良かった枕は、絶対に眠れる訳がないと思っていたのに
なんせ、あの至近距離
やっぱり自分はいつまでたっても慣れない
付き合いだしてもうすぐ一ヶ月だ
そしてがたどたどしくも、「ひさし」と呼ぶことに慣れ始めて三週間あまり
それなのに
相変わらずの醜態をさらしている
抱きしめることは疎か
手を繋いだのも2、3回程度で…その続きは白紙にインクが零れた程度しかしていない
男として、むしろ人間としてそういう感情が無いわけじゃない
ただ…大切すぎて
もとより女の経験は白紙に近い
愛の言葉を告げたのも、女の子が小さくて柔らかいことを悟ったのもつい最近だ
「ひさしの寝顔、面白かった…」
「あ?」
「だってココのシワが熟睡とともに無くなってくんだもん」
ツン、と眉間を突かれて自分もそこに手を触れさせる
目つきが悪いのは今更なこと
でもそんな無防備な姿を寝ている時とはいえ、曝し出していた自分に少し気恥ずかしくなった
「…」
「うん?」
二度目
数えるのは何だか女々しい
「もう1時間、サボろーぜ…」
「うん…いいよ…」
まだ夏の残りを否めない太陽が、もうすぐてっぺんに立とうとしていた
FIN.
あとがき
三井は初々しいのしか浮かばん。
何をしたのか、何が2度目なのか
ご想像にお任せします…みたいなv