「兄上、起きてください。もう鍛錬が始まりますよ?」
「ん……。おぉ、!もう朝か…朝日が昇るのは早いなー…」
「そんなたそがれてないで早くしたくしてください!土方さんが怒りますよー…」
「おぉ、それは大変だ。起きるとしよう。
ところで、今日も鍛錬見に来るか?」
「はい、勿論です!兄上たちの鍛錬見たいですもん!」
『兄』から向かうその先は
「やってるやってる」
ひょこ、と物陰からむさ苦しい鍛錬所を覗くのは近藤勲の妹、である
彼女は、こうして隊の皆が鍛錬している姿を見るのが好きだった
「それにしても、いつもこうして隠れてるのに…何でバレるのかしら…」
彼女なりに隠れているつもりだが、実は丸見えなことに気づいていないのは最早本人だけであった
には、兄がたくさんいた
いや、正確には血の繋がった兄は近藤勲ただ一人である
しかし、近藤を気に入って集まった真選組の皆も兄貴と呼べる
特に、土方、沖田は一緒に育ってきたため、仲が良かった
ところがまあ、事件なんかも起こっちゃったりする
の中の兄貴の中の兄貴のそのまた兄貴の兄貴が近藤であったなら、
兄貴の中の兄貴のそのまた兄貴が土方
そして兄貴の中の兄貴が沖田
そう想っていたはずなのに、その枠を踏み越えてしまったのだ
恋愛、という楔が邪魔をして
「オイ、それで隠れてるつもりか、チビ」
「あ、土方さん。休憩時間ですか?」
「あぁ。……今日も良い天気だな」
「そうですね…。…土方さん、頭にバズーカくっついてますよ」
「どわぁっ!そ、総悟!狙ってんじゃねェ!!」
「やだな、それは誤解でさァ。土方さんの頭にチリがのってたもんで、これはいけねぇや、
と思って取ってあげようとしたんですぜィ」
「もっと他に方法あんだろがァァ!」
「おはよう、総悟」
「おはよう、でさァ
今日も近藤さんですかィ?」
「う、うん…まぁ、そんなところ」
「そうかィ。山崎のミントン当たらねェように気をつけな」
ぽんぽん、と頭を撫でて沖田は去って行った
の隣でしゅぼっと音が響いて、煙が上がる
土方が煙草をもちかえると、肩に重みがかかった
「土方さん…。総悟って私のことどう思ってると思う?」
「知るかよ。総悟に聞け」
「“妹”だよねぇ…」
「わかってんじゃねぇか」
「私…総悟が好き。
報われなくてもいい、でも、絶対にこの想いだけは、伝えたいんだぁ…」
「そーかよ」
・
・
・
・
「もうっ、土方さんのバァァカ!!」
「なっ!てめぇ、大人しく聞いててやったと思ったらその口のききっぷりは何だァ!!」
「土方さんは大人すぎるよ!!山崎だったらえー!!とかうんうん…とかいやでも…とか
これやったら…とか俺がヤバいとか…沖田隊長に…とか、殺られる…とか
バラエティーに富んだ答え方してくれるのにっ!」
「俺だって山崎みてぇに命惜しいんだよ。ただでさえ俺は四六時中総悟に命狙われてるしな」
「…………どーいう意味ですか?」
「知るかバカ。しっかり自分で考えろ。そうじゃねぇといつまでたっても背伸びねぇぞ」
「もう成長期は終わったんだもん…だって、もう16だよ?」
「まだまだ伸びる。骨かじって牛乳飲んどけ」
「カルシウムだけじゃ身長伸びないよ?」
「あぁーっ!!うっせぇなこのチビは!」
「いひゃい、いひゃい(痛い、痛い)」
ぐに、との柔らかいほっぺたを引っ張り、
首根っこを掴んで歩き出す土方
は大人しくぶらさがっている
「総悟!これと遊んでやれ」
「、嫌な奴にはお前うぜェドタマかち割んぞ、ぐらい言わなきゃ駄目でさァ」
「そんなこと言えないよ。一応土方さんだもん」
「土方さんだから許されるんでィ。オレはいつもそうしてますぜ」
「それは総悟だからね」
縁側に仲良く座って、夏の日差しを見ていた
眩しくって、暑いけど、こんなのんびりした時間が大好き
「総悟…あのね」
「ん?何ですかィ」
「あの…私…総悟のこと…」
「ぐごぉーっ!」
「!…兄上」
すっかり忘れていたのだろうか、兄貴の存在を
沖田との後ろには寝そべる近藤が居た
「オレのことが…?」
「……なんでもない。兄上が居ないときに言うね」
じゃあ、と言って立ち去ろうとした時、強い力で引っ張られた
そして今度は沖田の足の間に座る形になり、後ろから抱きしめられる
「中途半端な言い逃げなんて許しませんぜ」
「…そ、総悟」
「オレのことが…?」
「言えないよ…。兄上起きちゃうかもしれないから離して。
知ってるでしょ?兄上の性格。いくら総悟でも怒ると思うよ」
「近藤さんなら大丈夫でさァ。起きにくいってことぐらい妹のなら知ってるはずだ」
「……そうだけど」
「言いなせェ。オレのことが?」
「…………好き」
穴があったら入りたいほど恥ずかしかった
心臓はどきんどきんとやかましいし、手も震えてくる
もしこの手が振り払われてしまったら?
怖くて仕方ない
相手が、好きな人なだけに
「俺もでさァ」
伸ばした手は、届いた
の胸に過ぎ去った春がまた訪れようとしている
あとがき
初銀魂ドリー夢です
しかも沖田をどんどん見失った感じの仕上がりに。
ちなみに、このヒロインとか近藤妹とかの設定は友と考えましたv
沖田大好きなので極めたいよー…。がんばりまっす。