見慣れた天井、温かい布団
     隣でいびきをかいて眠る兄を見つめながらは体を起こした


     「早く起きちゃった…」

     そっと障子を開ければ辺りの景色はまだ薄暗く、
     日も昇りきっていなかった

     少し寝乱れた帯を結び直し、は顔を洗うべく水道へ向かった
     冷たい水で洗面などを済ませていると、微かに聞こえる物音

     「誰か…もうおきてるのかな?」

     音のしている方をたどれば道場の門
     朝から剣術の稽古でもしているのだろう

     「誰だろ…新人さんかな…?…ちょっと覗いちゃお」

     そっと音を立てないように扉を開け、中を覗けば
     そこには思いがけない人物、沖田総悟がいた


     「総悟…」

     かける言葉を失ってしまう程の綺麗な剣術
     右へ左へ流れるように剣先が舞い、静かな沖田の呼吸音と竹刀が空を切る音が響く

     ふいに動きが止まって、沖田の呼吸が荒いものへと変わった
     滴り落ちる汗を拭いながら座る沖田を見つめ、はそっと扉を閉めた

     「休憩かな…」

     お茶でも持ってきてあげよう、と思い立ち、台所へ急ぐ
     常備しておいたお茶に氷を2つ3つ入れてお盆へ載せた

     「綺麗…だったな…」

     舞のように綺麗な太刀筋
     汗が滴り落ちるほど真剣な表情

     あんな表情は今まで見たことがなくて
     むしろ剣を握った沖田を見たことがなくて
     恋人であるにもかかわらず改めて『男』を認識した

     「あんな顔…///」

     見たことがあることはある

     『…』

     熱っぽい視線に空気に毎回とろけそうになる熱帯夜
     ぽつ、と落ちる汗ひとつにもドキドキして…

     「わ、私ったら…朝から何考えて…!」

     ぶるぶると頭を振って記憶を振り払うと、慌てて道場へと向かった















     「はぁっ、はぁっ……さすがに…朝はきついぜィ…」


     竹刀を振り回すのを止めて時計を見ればもう6時半
     そろそろ朝番の隊士が起きてくる

     「じゃ、戻るかねィ…」

     その時、カタン、と小さな音が響いた
     振り返ればそこには息を切らしたの姿

     「、どうしたんでィ?」
     「はぁっ…あの、ね…」



     「お、おはよう!」


     その大きな一言と同時にお茶が差し出される
     真っ赤な表情ときらした息と
     その三つ何もかもがミスマッチで
     沖田はしばらく固まり、小さく笑った

     「おはようございやす、

     朝はまだ始まったばかり





     (ところでどうしてそんなに顔が赤いんでィ)
     (なっなんでもないよッ!///)
     (…やらしーことでも考えてたのかィ?)
     (かっ、考えてないもん!///)