頑なに強がってみせるところとか、
強く抱きしめたら折れそうな細い腕とか、
決して女らしい奴とは思えないほど勝気な性格とか、
全て、愛しい
それでも、
辛いときに無理して笑ってみたりするところとか、
何も言わずに傍に居てくれるところとか、
不安になったら俺を呼ぶ声
全て、欲しい
人の気持ちには敏感なくせに、俺の気持ちには中々気付かん
困った奴じゃ・・・
想いを告げる雪
「良い風じゃ・・・」
暖かい日差し、少し冷たい風に自然と眠気が襲ってきた
殺風景な裏庭に一つだけ忘れ去られたように置かれているベンチ
そこに腰掛けて、テニス部の練習が始まるまで一息つくのが俺の日課
たまに告白シーンを聞くハメになるということ以外は快適な休憩所じゃった
「もうこんな時間か、そろそろ戻らんと真田の鉄拳がとぶかもな・・・」
面倒、という言葉が出そうになりつつ重い腰を上げた
すると、聞こえてくる二つの声
・・・参ったな、告白タイムか
いくら聞く気は無いとは言っても、さすがに邪魔するのは気がひけた
今、この場を出て行けば確実に邪魔になる
俺が丸井とかなら誰と誰が良い雰囲気になってるとかでおおはしゃぎするんじゃが、
俺がおおはしゃぎ、いうのも中々キャラが違うしな。
「ごめんなさい、私好きな人がいるんです」
「好きな人って誰だよ」
「私、仁王先輩が好きなんです!」
「あ、おい!・・・ちっ、仁王かよ・・・」
しばらくして声が消えた
落ちて積もった枯れ葉の音が遠ざかっていくのを聞いて立ち去ったのだと解る
フられよなったな、とまるで他人事のように呟いてみる
大体、俺のどこが良くて好いとるのかがよく解らん
自分で言うのも何じゃが、女にはモテる
しかし俺を好きだという女はたいてい知らない女ばかり
目にかけたこともないような奴から好きだと言われてもフィルターを通して観る映画のようなもんじゃ
『自分を好きって言ってくれるだけですごく嬉しいことだけどなぁ
だって、自分の存在が相手の心の中で大きくなってるってことなんだよ?
仁王は、誰か好きって言ってもらいたい人とか居ないの?』
そう言った本人が俺の心の八割を占めている
あいつには、いつもダルいとばかりに逃げてきた心を真正面に向けても敵わない
掴まえて、想いを告げても笑って流される
どうすれば、いい
傷つけたくはない、壊したくもない
募っては、持て余す
苛立ちにも似た感情であいつを傷つけてしまいそうで、
人を愛する心を知ったばかりのあの頃に戻りたかった
色んな奴と付き合って、捨ててきたしっぺ返しじゃな
想われていたときよりも、想うだけのときが辛い
当たり前なことなのに気付けなかった、というよりも気付こうとすることさえしなかった
そんな自分が、あいつを想ってる
閉じていたまぶたを開けると白いものが落ちてきた
ひとひら、ひとひら、真っ白い―――雪か?
「こんな暖かい日にか・・・?」
手を伸ばせば、触れられるそれは温かい
真っ白な紙だった
次々に落ちてくる紙は雪のようで、しばらく目を奪われた
H
P
I
Y
B
何か今、文字がよぎらんかったか?
地面や自身の制服に積もっている紙を見れば真っ白な紙にまじって文字が書いてある紙があった
止んでしまった雪をすべて並べれば見えてくる言葉
HAPPY BIRTHDAY TO・・・
癖のある字面に、声を出して笑った
慌てて書いてちぎった紙片にこめられて想い
雪が降ってきたであろう校舎の窓を見上げると目が合った
少女は、寒さで少し頬が赤い
その赤みさえも本当に寒いからなのか、と疑ってしまう
「肝心の名前がないがどういうことじゃ、」
「な、何の話よ!そんなこところでサボってないで早く来なさいよ!練習!」
「はいはい。わかっとるからな、全部。いつまでその意地が張れるか楽しみじゃき。」
「だ、だから、知らないってば!///」
「俺にそんな見え透いた嘘がとおるかと思ったら大間違いじゃ」
「いいから!今そっちに行くからそこにいなさいよ!仁王見つけるの大変なんだからね!」
ひょい、と顔がひっこんだのを確認して座りなおす
すると、また雪が降ってきた
「雅治!ほら、行くよーっ!」
「解っとう。そうキャンキャン言いなさんな」
「言いたくもなるわよ!真田がすっごい怒ってるんだからね!」
雪を全て、に悟られないようポケットに仕舞い込んだ
もちろん、俺だけに告げられた言葉だとわかる一言を手に握り締めてから
心からの想いに、俺も応えんといかんな
「愛しとうよ、」
あとがき
仁王さん、お誕生日おめでとうございます!
突然思いついたネタですみませぬ、でも想いは大きいですから。
ヒロインちゃんからのお祝いメッセージは紙吹雪で。
最後の紙吹雪に書かれてたのはご想像にお任せします。
限られてくるとはおもうけど、管理人的にはMASAHARUかな?
最初、仁王って呼んでたヒロインが雅治って呼ぶとかさ。ね、良いよねー、青春(笑)
2006.12.4