梅雨夢企画 〜テニスの王子様・跡部景吾〜




















               「あら、水も滴る良い男、発見!」

               「アーン?何言ってやがる、




               弾んだ少女の声に、跡部は振り返った


               思ったとおり、そこにはが立っている




               二人は、傘を持たずに、通学路を歩いていた


               丁度、お昼過ぎから降り出した雨は容赦することなく降り続いている




               「お前、傘はどうした。朝は持ってただろう」


               「跡部こそ・・・」




               「「・・・・・・・・・・・・」」




              暫しの沈黙ののち、二人とも黙って通学路を歩き始めた


               お互い、何も言わないということで決着は着いたらしい




               「はっくゅん!・・・・うー」


               「うー、じゃねぇだろ。女がするくしゃみか、それが」


               「しょうがないでしょ!・・・ズッ!」




               鼻水をすすると跡部は整った眉を歪ませた


               そして、逞しい腕がに伸びる




               「ほら、こっち来やがれ」


               「え、あ・・・//////」




               寒くないようにか、ぴったりとひっつく二人


               は耳まで赤くさせ、跡部の言う通りに従った




               「ちっ、冷てぇ身体しやがって・・・。」


               「だって学校からすぐに傘なくなったし」


               「俺様の体温をわけてやってるんだ、有り難く思え」




               偉そうな態度で話す跡部


               これも昔から知っていることなので、は少し顔を歪ませただけで何も言わなかった




               「もう梅雨の時期かぁ〜、季節がめぐるのは早いねぇ・・・」


               「アーン?何言ってやがる。」


               「もう、三年生なんだよね」




               それこそいまさら言うことではない、
               と跡部は口を開きかけ言うのをやめた


               彼女の横顔は、とても寂しそうだった




               「みんなと一緒に高等部に行くけど、何だか私は寂しいな。
                この中学から離れるの」




               遠くを見つめた


               跡部は、腕の力を強めた




               「バーカ」


               「な、何ですか、いきなり!」


               「いつまでも同じ位置にいたら万進できねぇだろ。
                別れだって必要なんだぜ?」


               「それは解ってるよ」




               苦笑したを見つめて、跡部は一息ついた




               ―――――知っている、何もかも


               彼女が、何事にも思い入れ深いことも、中学校生活を楽しく過ごしていたことも




               「ね、跡部。今日はこのまま一緒に帰ろっか」


               「・・・そうだな」




               ぱしゃ、と水たまりを歩く二人




               二匹の猫が泣いた


               二匹に立てかけられた二つの傘が、雨に濡れていた




          ☆あとがき

          超短編ですねー。
          跡部様の泣きぼくろ、雨に濡れてたらさぞかし乙女のハートを直撃するだろうなァ・・・。