梅雨夢企画
テニスの王子様 〜日吉 若〜
ようやく終わった!
いそいそと立ち上がって、楽譜も手早く鞄に詰め込んで、目の前にいる榊先生を見つめた
『、お前にはピアノの才能がある。本気で音大を目指したいのなら、これから毎日放課後に音楽室に来なさい』
数ヶ月前、昼休みに放送で呼び出しをくらい、職員室で榊先生にそう言われた
正直、ものすごく嬉しかった
榊先生自らピアノを指南してくれるなんて、嬉しかったし。
何より、放課後は退屈で退屈で仕方ない
帰宅部の私は、毎日男子テニス部のコートで一人の人を待っている
日吉若くん。一年生の時に付き合い始めた私の彼氏
練習風景って言っても、部長の跡部くんねらいで女の子の生垣が出来てて見えないし、
遠くからしか見守れなかった
帰りは一緒に帰ろうね、と少し我侭を言った私
日吉くんは何も言わずにうなずいてくれた。
音楽室からはちょうどテニスコートが見えて、たまに日吉くんの声も聞こえた
私のピアノの音が好きだと言ってくれた日吉くん
その音色が、少しでも日吉くんに届くようにと練習をしているのも理由の一つだった
「、今日は三ページの二段目の五小節目が良かった。
これからもがんばるように。」
「あ、はい。ありがとうございます!」
「うむ。雨が降り出したようだ、傘を忘れないように帰りなさい。行って良し!」
失礼します、と頭を下げて音楽室の扉を閉めた
くす、と笑みが零れる
あの榊先生が、傘を忘れないようにと言った。
しかも行って良し、のポーズで
笑いながら鞄を持ち直すと、日吉くんとの待ち合わせ場所の靴箱に向かった
もうそろそろテニス部も終わるころだろう
「日吉くん!」
「、来たか」
靴箱にたたずむ背中を見て、早まる心臓の音とともに声をかけると、彼はゆっくりと振り向いた
「ごめんね、待たせちゃって」
「いや、大したことじゃない。じゃ、帰るか」
「うん」
すでに外靴に履き替えている日吉くんを待たせまい、と手早く靴を履き替えた
玄関をくぐろう、としたときに、後ろから日吉くんに腕をつかまれた
「、お前傘は?」
「え?あ・・・・・・」
つい先ほど、注意されたのに、案の定音楽室に忘れてきた
でも、また戻るのもなんとも気がひける
靴箱から音楽室は結構遠いのだ
「あー、今日は濡れて帰ろうかな。なーんて」
「ほぅ・・・」
手をもじもじと動かしていると、日吉くんは自分の傘を広げた
梅雨の雨がしとしとと彼の傘に降り注ぐ
「で、何で俺の傘に入るという選択肢は考えられないんだ?」
「えっと、それは・・・。は、恥ずかしいから///」
相合傘なんて定番ネタ、明日学校に行けばからかわれるに決まってる
だったら、濡れて帰ったほうがいくらかマッシだ
「最近、いろんな病害菌が流行ってるらしいな」
「・・・?うん、そうだね」
「雨なんかに濡れて帰ったら、肺炎になったりするんだろうな」
「・・・え」
「喉が冷えて、声が出なくなって、肺炎。もちろん学校は休まなければならないし・・・」
出ました、日吉くんの小さなおどし!
この手に何度やられたことか!
つまりは、自分の傘に入るまでおどしつづけるという意味
多少大げさなことでも、日吉くんが言うと本当に聞こえて
いつも最終的にはすんなりと彼の言うことを聞いてしまう
「・・・肺炎になりたくないから、傘、入れて?」
「わかった」
にやり、と日吉くんの口角があがったような気がした
遠慮がちに端の方にいれば、暖かい腕に引き寄せられて、
羞恥心に下を向くと、指先に暖かな感触
「これで、肺炎にならないな?」
「・・・バカ///」
一つになった傘の下
いつまでも雨が降り続くことを願って・・・。
☆あとがき
短いッ!して危うく榊先生の夢小説になるとこだったッ!
しかし、今までの梅雨夢の中で一番満足のいく作品です
日吉くんが最近好きになりだしたからかもしんない…。
でも学プリで日吉くん未プレイなんだよねー。
氷帝コンプリするからいつかするけどね。
日吉くん好きの友人にひかれて日吉くんも今ではあたしの中で五位という高順位
って思ったけど、同順位の人多いから微妙な気分ですなぁ…。