梅雨夢企画
                    テニスの王子様 〜切原 赤也〜


















               「あーあぁ、結局雨かよ。チッ、コート練習出来ねぇじゃん」
               「やったぁ!雨よ雨!体育休みーっv」

               「……………」
               「……………」

               目が合った二人
               赤也と

               クラスメイトはまた喧嘩が始まるのではないかとハラハラしていた


               「「フン」」

               どちらも鼻で笑っただけで満足らしい
              毎日喧嘩するほどの仲の良さ、の赤也とは昨年から彼氏彼女の関係だった
              しかし、毎日喧嘩ばかりにしている公認のカップルは周りから見ると不安の種らしく
              クラスメイトたちは二人を仲良くさせようと必死だった

              また、席替えでは必ずといっていいほどの確率で隣になり
              先日行われた席替えではが赤也から離れられた!と喜んでいると赤也の後ろの席になった

               「俺は好きでこんな場所に来たんじゃねぇからな」
               「わ、私だって。」

               お互いにつっぱって、決して好きとは言わない
               付き合うときも流れで付き合うことになってしまった

               お互い好きなのに、告えない
               愛の言葉を伝えることが恥ずかしくて、つっぱってしまう


               「お前、自分が運動音痴だからって雨降って喜ぶなよ」
               「べ、別にいいでしょ!」
               「この間の50m走なんてこけてたしな」
               「・・・ッ!」

               がぐっと唇を噛んで、赤也の言葉に耐えているのも気づかず、赤也は続けた
               その様子に女子生徒たちが息をのんで様子を見ている

               「無様にまぁ、こけて。」
               「・・・わ、悪かったわね・・・ッ!」
               「でもまぁ・・・」

               言いかけた赤也の頬に刺激が走った
               バチンと切れのいい音とともに目の前に星が散ったような感覚がした
               に、叩かれたと自覚するには少し時間が欲しくて、
               赤也が瞬きをすると鋭い音で扉が閉まった

               「ひっどーい、切原くん!」
               「赤也ぁ、あれはひでぇぞ」
               「、泣いてたわよぉ・・・」

               最後の言葉に赤也がまた瞬きをした
               彼女は恨めしそうに赤也を見つめると続けた

               「切原くん、が運動神経きれてるの気にしてるの知らないでしょ。
                なのにいっつもにそればっかり悪口言って。どれだけが気にしてるのかも知らないで…!」
               「ちょっと明海。落ち着いて落ち着いて」

               隣から様子を見ていた女子が声をかけた
               彼女は鼻息荒く呼吸を繰り返している

               「早く追いかけなさいっ!」
               「わ、わかったから。今から行くって!」

               もう少しで授業が始まるチャイムが鳴るところだったが
               今やそんなことを気にしている場合ではなかった

               赤也は教室を転がるように飛び出すと、階段まで走っていった
               一段飛ばしで階段を駆け上がると屋上へと通じる扉が見えてきた

               「こういう時は、屋上にいるだろ・・・」

               特に根拠があるわけではないのに、自信があった
               ドアを開けたその先の景色に彼女がいると信じて、ドアノブを回した

               「・・・誰もいねーじゃん」

              がっくりとうなだれると赤也は中に入って柵にもたれかかった
              雨はすでに小雨になっていて、どんよりと湿った風が吹いていた

               「俺一人必死になって…、馬鹿みてぇ…」

               一人になったら、残るのは後悔と虚無感ばかり
               喧嘩をしていても、確かに感じる彼女の温もりがなくて
               胸の奥からこみ上げてくる想いが口から飛び出した

               「…」

               そう呟いたときにふいに背後からくしゅん、という音が聞こえてきた
               驚きの声を漏らし、後ろを振り向くと
               屋上の隅の方にが横たわっていた

               「げっ。い、居たのかよ…」
               「…………」

               何も言葉を発さない
               赤也はさすがに少し心配になってに近寄った

               「…寝てんじゃん」

               覗き込むようにして見ると瞳を閉じたの寝顔
               安らかな寝顔に癒されるかと思えば涙の後筋が残っていて、そうは思えなかった

               「脅かすなよ…」

               始めて見るの寝顔をまじまじと見ていると何故か頬が熱くなった
               あまりにもあどけない寝顔だからだろうか
               の柔らかい表情を見ているからだろうか
               このまま見つめていれば、どうなるのだろう…
               赤也はとっさに目をそらした

               「本当は…、好きなんだぜ。マジで惚れてる…」
               「やっぱりね」
               「はぁ!?」

               視線を元に戻すとそこにはほんのりと頬を染めたがこちらを見ていた
               はすく、と立ち上がると赤也に近づいてきた

               「最初から、言ってくれればいいのに…///」
               「何言って…!おまえ、それは反則だろうが!」
               「今まで私がどれだけ不安だったか…!」

               赤也は本日二度目の驚きを実感した
               の瞳から雫がふってくるのを見て、思わずを抱きしめた

               自分でもどうしてなのかはわからない
               彼女が涙を零すだけでこんなにも愛おしい気持ちがあふれてくるなんて…

               「…悪ぃ。」
               「いいわよ、別に。ぜんっぜん怒ってないから!」
               「いや、それは怒ってるだろ」

               初めて実感するお互いの温かさ
               心臓の音、呼吸の音

               「私も…、す、すき、だからね。赤也///」
               「…おう///」

               お互いに意識をしてしまい、耳まで真っ赤になった

                好き、という言葉がこんなにも重要だなんて
                たった二文字だけど、その言葉が心を掻き乱す

                 二人の水面に少しずつ小さな波紋が音をたてて揺れだした





          ☆あとがき
          初☆赤也くん夢!
          私が書くとどうもお相手キャラが純か優しくなる…。
          う〜ん、この赤也くんは良いのだろうか…。