梅雨夢企画
テニスの王子様 〜向日 岳人〜
「何だよ、跡部!今日練習休みかよ!」
「うるせぇのが来やがったな」
向日は教室の扉の向こうからそう叫ぶと扉を開いた
俺様気分で椅子に座っている跡部をまっすぐに睨んで
「仕方ねぇだろ、今日は雨だ。
おまけに運悪く部室の大清掃が入ってやがる。よって、休みだ」
「今日はコートで打ちたかったのに…。くそくそ跡部め」
「アーン?雨は俺様のせいじゃねぇだろうが」
跡部は整った眉をひそめて向日を睨み返した
その言葉に向日がまた言い返そうと口を開きかけたその時、
ふいに向日の腕が小さく引っ張られた
「岳人、どうしたの?」
「っ」
振り向くと愛しの彼女、が立っていた
彼女は不思議そうに岳人を見ながら小首を傾げていた
「聞いてくれよ。」
「ん?」
「雨のせいで今日の練習休みだって跡部が言い出すんだぜ!」
「てめぇ、何があっても俺様を元凶にする気か」
跡部の小さな文句を全面スルーして向日は云々と文句を語り続けた
付き合ってられねぇ、といつのまにか跡部もいなくなっていた
「うーん、それは残念だったね。でもま、明日があるじゃない、青少年!」
「、何か急に年寄りじみてねーか?」
ははにかむように笑うと近くにあった椅子に腰掛けた
つられて向日も先ほどまで跡部が座っていた椅子に座る
「でも、雨は自然界では重要なんだよ、岳人」
「………なんだよ」
自分よりも数倍かしこい向日の彼女はたまに納得のいく知識を向日に植えつけていく
それが楽しいときもあるが、大方ついていけないので向日にとっては耐え難いものだった
しかし、それも長年の彼女との付き合いの賜物で、耐えられるようになってきた
「雲から降った雨は、地面に落ちて太陽の光で蒸発して、雲になって。
また雨になるんだよ。水の命はめぐるんだねー」
「…へぇ。循環してんのかぁ」
「なーんて、ただ単に理科でも習うけどね」
習ったことを言ってみただけ、とは言ったが、向日の頭には一切その記憶は無かった
授業を聞いていなくてもこうしてが話してくれるので違う意味でも助かるときがある
「の豆知識も、役に立つんだか立たないんだか微妙なところだよなー」
「あ、ひどーい」
椅子にもたれながらをからかうと彼女は頬をふくらませた
それを見て手を伸ばして彼女の髪を梳いてやるとくすぐったそうに身を寄せた
「でも、私は嬉しいな」
「?」
「練習が休みで」
よいしょ、というの掛け声とともに向日の膝にの体重が加わった
しかし重くない、と感じるのは毎度のことで本当にちゃんと食べているのかと心配になった
「岳人と、一緒にいられるもん」
普段、部活で忙しい向日はと遊ぶ機会が中々訪れない
本人同士が望んでいてもどうしようもないことなのだ
向日はがそれについて文句を言っているのを聞いたことがなかった
忍足はよく出来た彼女、と褒めてはくれていたが、
岳人の心中を察したのか、頼ってくれないのは辛いな、と零した
「あ、ごめんね。別に普段のことに文句言ってるわけじゃ…」
「いいから」
の口元を岳人は自身の手のひらで覆った
柔らかい彼女の唇の感触に胸が高鳴るのを感じる
「たまには、俺にも我が侭言えよ」
そう言って、の手首を掴むと唇を寄せた
ん、とからもれる声に熱が上昇するのを感じながら
「いいの?」
唇が離れると少し涙でうるんだ瞳をもってが問うた
その言葉に向日は小さく頷いた
「もっと、俺を頼れよ。」
続きの言葉はもういらない
向日は再びの柔らかいそれに口付けをおとした
☆あとがき
ちょっと男らしい(?)がっくん。
何か跡部が出張ってるのは気にしない!(笑)
最後は甘、で占めてみました。