梅雨夢企画
〜テニスの王子様・仁王雅治〜
―――――雨は好きじゃ
俺の気持ちを隠してくれるから
―――――雨は嫌いじゃ
あいつに無様な姿を見られた日も雨が降っとったからな
「あんたなんか、大っ嫌いよ!」
そういわれた瞬間、頬に軽い衝撃が走った
殴られた、と自覚した時にはすでに目の前の女は走り去っていって、
ゆっくりとその後を目で追っていると、目が合った
「あ、仁王くん。ご、ごめんね?偶然通りかかっちゃって…」
「…か」
出てきたのはクラスメイトの
一番、今会いたくない人だった
「立ち聞きするつもりはなかったんだけど。
出て行くと気づかれそうだし、あの、本当にごめんね?」
何も言わない仁王が怒っていると判断したのか、が慌てて言葉をつなげた
仁王は俯いている顔をそのままにして、の声を聞いていた
「あの、仁王くん?頬、大丈夫?」
「…少し黙ってくれんか」
自分でも驚くほど低くて冷たい声だった
その声色にも驚いているようで、小さな声でごめんなさいと呟いた
しばしの沈黙
それを割ったのはだった
「仁王くん、私の話聞いてくれる?」
「………」
俺に構うな
声をかけるな、気持ちが溢れ出してくる
「雨ってさ、昔から私が悲しいと思った時に必ず降ってくるの」
は片手を広げて言った
その手のひらに雨粒が一粒一粒と溜まっていく
「今も、そうよ?」
ふわりと、頬を挟む暖かな手のひら
雨の中にいれば体は冷えているだろうに、彼女の体は暖かくて
心から安心した
心を許せた
「だって、仁王くん。いつまでたっても本当の気持ちを私に隠しているんだもの」
「…何の話じゃ?」
その時だけ、詐欺師と呼ばれる性が働いた
隠しておこうと決めたこの気持ち
黙って、蓋をして、時の河に流そうと決めていた
その気持ちを、彼女が暖かな光で照らしていく
「…自惚れてもいいの?」
何も、言えなかった
それは向こうも同じだろう
このまま、手を離して―――――。
「離さないでね、その言葉を」
「……」
「私は、待ってるから。ずっと、仁王くんの隣で」
そう言って、彼女は去っていった
冷たい雨が頬を濡らしていたけれど、それが何だかぬるま湯のように感じて。
雨が上がって、あいつに会ったら何と言って話せばいいのか
一人、小さく笑った
「あいつも、俺と同じタイプかもしれんのう」
雨上がりの虹、それがきっと今の俺の気持ち
☆あとがき
仁王さん好きの環琥宇鈴華さんに捧げる気持ちで作ってみた梅雨夢
彼女が前にせつなくなるような夢小説が読みたい、
と言っていたのを聞いて前々からこっそりと計画を練ってました。
なのに、何だろう、このブツは。
いや、私的には結構頑張ったな、系なんだけどさ。
読んでる人にとって果たしてこれがせつなくなるのか…。