「の将来の夢って何だ?」
               「将来はねー、お兄ちゃんと結婚してしあわせな家庭を築くこと!」


               それは出来ねぇって・・・。勘弁してくれよ、・・・。











          
こんな両親です。

















               最初に目に映ったのは自分の部屋の天井
               次いで知った感覚は自分に抱きついている


               「あーあ、また腹出して・・・」


               安らかに寝息をたてる妹はお腹を出して眠っていた
               それを直してやりながら起こさないようにゆっくりとの腕を外す
               布団をかけてやって、宍戸は起き上がった


               午前五時半
               昨日はとぷ○ぷよに熱中しすぎて少し眠い
               身に付けていたパジャマを脱ぐとトレーニング用のジャージに着替えた


               「行ってきます」


               まだ眠っている家族に玄関で小さく別れを告げて宍戸は外へ出た
               朝ならではの冷たい空気が洗ったばかりの顔を余計冷たくさせていく
               深く息を吸って、走り出した

               これは宍戸の日課だった
               氷帝学園でのテニス部は厳しく、努力をしただけではレギュラーになれない
               人よりも更なる努力を重ね、練習とロードワークを積まなければレギュラーにはなれないのだ
               テニスは好きだった
               もっと上へいきたかった
               だからこうして毎朝走っている
               朝は苦手だったけれど毎日続ければ案外簡単なことで、三日坊主と笑われた母親にも笑われることも無くなった


               「ただいま」


               家に帰ると先ほどとは打って変わっての様子
               台所では母がつくる朝食の匂い、洗面所では父がいて、宍戸の声に二人も応えてくれた


               「やっぱり朝は寒ぃな」
               「お疲れ様、亮。シャワー浴びてきたら?そろそろも起きるし」
               「あぁ、そうだな」


               汗で背中に張り付いている長髪が嫌で、いそいで風呂場へ向った
               簡単なシャワーを済ませて風呂場の扉を開けば、そこには準備万端の自身の制服
               それらに着替えてリビングに戻ればテーブルには朝食が用意されていた


               「あー、腹減った」
               「こら、がっついて食べないの。もう、またネクタイ結んでないわね?」


               父にコーヒーを淹れながら宍戸の母が言った
               宍戸は首にぶらさがった状態のネクタイを見て面倒くさそうにため息をついた


               「あぁ、後で結ぶって。は?」
               「まだ部屋で着替えてると思うわ。ー!ご飯よー!」


               二階からの声が聞こえた
               初めて着る制服に戸惑っているのだろう

               「おはよー」
               「きゃあ!、可愛いっ!」
               「ひゃっ」


               母の歓喜の雄たけびに宍戸は紅茶に咳き込んだ
               同じく新聞を読んでいた父も驚いている
               母の方を見れば氷帝の制服に身を包んだに母が抱きついていた
               の抱きつき癖はどこから遺伝したのかすぐにわかる光景である


               「予想通り、よく似合うわぁ!もう、可愛いんだからっ!」
               「えへへ・・・、ありがとう、お母さん」


               抱きしめる母に応えながらはにかんだように笑う
               母の親馬鹿ブリは目に慣れたもので宍戸は食事を再開した


               「いただきまーす」


               は宍戸の隣に座って食事を始めた
               そこで改めて解る妹の可愛さ
               真新しい制服を着て、ネクタイはきっちりとしめていた
               まだ小学生の幼さが残る顔だちに氷帝学園中等部の制服はなかなかに似合っていた


               「あ、お兄ちゃん。またネクタイ結んでない」
               「あ?あぁ・・・、後でするって」
               「やってあげる」


               別にいい、と断ればいいものの一度それをした時は半泣きになったので仕方なかった
               器用な手つきで宍戸のネクタイをしめてパク、と卵焼きを食べる
               その姿に母も満足しているようだった
               が宍戸のネクタイを正すのは日常茶飯事で、それをやってくれるがいるから自分でネクタイしめないということも理由の一つだった


               「はぁ、やっぱり良いわぁ。美しい兄妹愛!同じ学校の制服を男女で着せたかったのよねー!」
               「母さんの趣味はよくは解らんが、似合ってるよ
               「ほらお父さん、やっぱり私の言ったとおりでしょ?本当に可愛いわぁ・・・」
               (我が親ながらものすごい対照的だよな・・・)


               朝食を食べ終わって紅茶を飲みながらふと思った
               自分は父親似では母親似
               この年になってもはしゃぐ癖は治らない母は、
               の年ぐらいの時には大好きな人には必ず抱きつくという癖があったらしい
               そして教師をしている父は
               宍戸の年ぐらいの時には毎日部活に明け暮れていたとか

               どちらも庶民派の一般的な家庭を築いてきたので、近所の人からはたちが氷帝学園に通うと聞いて驚いていた
               無理もないだろう
               氷帝学園は私立学校ということもあるが、学費が高いのなんのでとにかくお金がかかる
               だが、母親の兄妹で制服を着させるという願望によって兄妹二人入学した
               宍戸がに甘いように、宍戸の父も母には甘かったのだ
               典型的な遺伝の力である


               「そろそろ出た方がいいな」
               「あら、そうね。亮、が乗ってるんだから安全運転でね」
               「解ってるって。おら、行くぞ
               「うん!行ってきまーす」


               玄関の扉を開けると愛犬のシバが飛びついてきた
               その名の通り、が10歳の時の誕生日プレゼントの柴犬である
               シバも食事が済んだのか、遊んでくれるとばかりに宍戸たちにじゃれていた


               「こらシバ。俺らは学校行くんだって。遅れるだろ」
               「ごめんねシバ、帰ってきたら遊んであげるからね」


               自転車を出してシバを撫でているを待った
               宍戸は自転車通学なのだ
               宍戸家はかろうじて東京には引っ越してきたものの、氷帝学園がある都心部の土地は高くて
               都心から少し離れたところに一軒家を構えていた
               いつもは一人で乗っていた自転車も今日から二人になる
               自転車通学は認められているが二人乗りは勿論ダメなので今日から裏門の自転車置き場にお世話になりそうだ


               「じゃ、行くぞ。しっかり掴まっとけよ」
               「うん!」


               宍戸の声にぎゅ、と腰にが抱きついた
               の重みで少し固くなったペダルを思いっきりこぐ
               最初は少しよろよろと、しばらくして快調にタイヤが回転し始めた


               「わー、風気持ち良い。お兄ちゃん、毎日こんな良い体験してたんだ」
               「雨の日は辛いけどな」
               「あはは、それもそうだね。でも楽しい」


               前に豪雨が東京を襲った時は本気でどうしようかと思った
               電車で行きなさいという両親に気を遣って無理やり自転車で行ったこともあった
               その時は傘を差しながら運転したのだがバランスは取りにくいわ傘の金具に髪が引っ掛かるわで大変だった
               結果ボトボトに濡れて帰って来たのである


               「ね、お兄ちゃん。入学式の後って、クラブ活動の発表会があるんだよね」
               「あぁ。テニス部だろ?多分出ると思うぜ。発表会の場ではテニス部の誰かが活動内容について話すだけだけどな」
               「それで、またその後にクラブ見学って時間があるんだってね」
               「テニスコートでやってるから来いよ。やたらデカいからすぐに解ると思うぜ」
               「うん!お兄ちゃんに会いに行くね」


               ぎゅうっと抱きついているに吐息だけで笑った
               自分だけが頼りだとばかりになついてくる
               宍戸も一応お年頃な訳で、正直それが嫌になったこともある
               わがままで、泣き虫で、未だ一緒に寝てる妹
               母親の影響もあったが、という人間が妹として愛しかった
               だから振り払えないでいる

               妹以上の感情を抱くということは無いけれど
               彼女が自分を頼れる兄と慕ってくれることは悪い気はしなかった
               ひたむきで、一生懸命なが可愛かったから


               「
               「ん?なに?」
               「いや・・・何でもない」


               シスコンな兄貴という訳ではないと長年思っていたが何となく嫌な予感
               なついてくる妹を振り払えないのはやっぱり自分がシスコンだからなのだろうか


               (俺ってやっぱシスコン・・・?)


               に気づかれないよう長いため息をついた
               そんな兄の心中も知らずに次々と変わっていく風景に歓声をあげる

               その声を聞きながら見えてきた氷帝学園に向かってペダルをこいだ


               現在、宍戸の悩みは自分がシスコンであるか、という悩みである・・・・・










          ☆あとがき
                 
宍戸兄妹はぷよ○よで遊んでいます…。庶民の子は未だにセガサタで遊んでいた…。
                  某友人サイトで宍戸さんと自転車に二人乗りするヒロインを見て惚れました。なので宍戸妹ヴァージョンで。
                  自転車で学校行くのかー…、家から学校までどれだけ離れとるんだい、宍戸家は…。
                  今回は宍戸家満載って感じでしたね。両親、宍戸さんの日課、飼ってるわんちゃん…。
                  宍戸さんは努力家なので二年生の時からもレギュラーを狙ってトレーニングしてました。