紳士と呼ばれるその訳を 2
そこには、自ら朝練をする丸井とジャッカルの姿があった
行っているのは準備運動程度ではなく、小さい試合形式だったことから
かなり前に登校して練習を始め準備運動をしていたことがわかった
「はようございまーすっ!」
「おう、赤也か。早いじゃないか」
「感心感心」
「それはこっちの台詞っスよ。
ジャッカル先輩はともかく、ブン太先輩、朝苦手だって前言ってたのに…」
「あぁ、それがよ。何か妙に目が冴えちまって…。
で、ジャッカルに電話して一緒に朝練しようってことになったんだよ」
ぷう、と勢いよく丸井の風船ガムは膨らんだとき、丸井の背後から緑の物体が飛来してきた
そのブツ(?)はブン太の風船ガムに直撃し、綺麗に膨らんでいた風船を割り、地面に着地した
「おわっ!…っ、び、ビビったぁーっ…」
「大丈夫か、ブン太。…?何だよ、コレ」
「俺が知りたいほうだぜぃ…」
「えーっと…これは……ゴルフボールっスね」
…………………沈黙
「なぁ、一つ聞いていいか?」
「いいぜ」
「ゴルフボールって…、確か白色だったよな?」
「そうっスね」
「これ、どう見ても緑じゃねぇの?」
「…そっスね」
「緑のゴルフボールなんてあるのか…」
「普通に感心すんなよ。んなのある訳ねぇだろぃ?」
ガムが付着したところをちょっと避けながら丸井がそのブツを上に投げてキャッチしようとすると、
ゴルフクラブが丸井の頭に直撃した
「痛っ…。な、何なんだよ…俺…今日厄日かーっ!?」
「ブン太くぅん!ゴルフボールを邪見に扱うのは止めたまえ!」
「柳生先輩…っ!きょ、今日も母音強いっスね」
「というか、ゴルフクラブで人の頭殴ってる奴が言う台詞じゃないよな…」
三人の後ろにはレーザービームを決めた後のなんとも人を馬鹿にしているかのような
ポーズをとっている柳生が立っていた
しかも、手に握っているのはラケットではなく、ゴルフクラブだったので絵面が悪い
「もしかして、これ柳生先輩のんスか?」
「そうですよ。…何か?」
「緑色のゴルフボールなんてあんのかよ…」
「違いますよ。それはモスグリーンです」
「どっちだって一緒だろぃ…」
「全く違いますねぇ。ちゃんと緑のインクでワタシの名前が書いてあるでしょう」
わからねーっ!!
「や、柳生先輩も朝練っスか…!?」
気まずい沈黙というか、心で叫ぶ時間の沈黙を消そうと奮闘したのは赤也だった
「いえ、ワタシはこれですよ」
柳生はメガネを押し上げるとゴルフクラブをゴルフバックに直し、中から空き缶を三つほど取り出した
「空き缶…?」
「ワタシと今からゲームをしましょう。二球500円でこの缶をサーブで倒せたら賞金一万円ですよ」
「…パクりか?」
「何の話ですか?ジャッカルくん」
「…いや、いい」
こいつには何を言っても無駄とばかりにジャッカルが口ごもった
「とにかく、そんなくだらねぇこと俺はやらねーぞ。」
「同感」
「おやぁ・・・では赤也くぅん!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ・・・」
「では、こうしましょう」
「ちょっとは話聞いてくださいって・・・」
ふふ、と不適な笑いとともに柳生のメガネが光った
逆光の位置でもないのに、何故こうなってしまうのか。それを知っているのは数人だけである
「ワタシが勝ったらワタシの言うことをきいていただきます。
その代わり、あなたが勝てばワタシがあなたの言うことを聞いてあげましょう」
「だってよ、赤也。何やってほしいんだよ、柳生に」
「え……。えっと…んじゃ、何で紳士って呼ばれてるか教えてくださいよ」
本当は別に聞きたくないし、こんなゲームなぞやりたくもないのだが、
後輩の身分なので仕方がない
「おやぁ?そんなことでいいんですかぁ?お安い御用ですよぉ。
ワタシが紳士と呼ばれ始めたのはちょうど二年前…」
「……ほんとかよ」
「あれは、イギリスに住んでいたころ。そう、ちょうど冷たい雨の降りしきる日でした」
「お前、一年のときむちゃくちゃ普通に日本に住んでなかったか?」
「ワタシは不良に絡まれていたジェーンという少女を…」
「何だか、面白そうな話だね…俺もまぜてもらえるかな?」
「幸村ぶちょーっ。は、はよーっス!(いつの間に…)」
「おはよう、赤也。ブン太、めずらしく早く来てるかと思えば楽しくおしゃべりかい?」
「サーブでも打つか!ジャッカル!」
「おう…」
「ま、待ってください。俺も行きますっ」
あわただしく逃げていく三人
「柳生、からかって遊ぶ悪い癖は直したほうがいいよ?」
「ふふ、やはりアナタは騙せませんねぇ…」
「ふふ…(誰一人騙せてないと思うけどね…)」
紳士と呼ばれるその訳を…
そう望まれても覚えていないのでお答えできません
それだけ
あとがき
はい、ようやく完結です。
何だかねって感じで始まって何だかねって感じで終わりましたね。ハハ
柳生エピソードは濁らせました。単に打つのがめんどかったです。
でもあの柳生さんのセリフで大体わかったのでは?ベタな感じでいくと。
まぁ、ジェーンって女の子が不良に絡まれててそれを英語で助けるというのを書くつもりだったんですが。
それで助けてくれたあなたはまるで紳士のようだわ…!みたいな。
ぶっちゃけ、それしか思いつかなかった、ウン。
だってアデュとかいいながら後輩をごっつんする人、どこが紳士なの?
…ともあれ、お読みくださってありがとうございました(笑)