「ちょっと、聞いた?」
「勿論!今度、幸村様の婚約者が来るんですってね」
「え?何それ!私は知らないわよ」
「やだ〜、梅ってば!城中の噂よ!」
「幸村様の婚約者ならきっとおしとやかで、美人なんでしょうね〜…」
嫁に来ましたッ!
act1.偶然的出会い
白の布地に赤の横じま模様の着物に袖をとおして
桜の花びらが舞い散る絵柄の傘をさし
耳には桃の花の耳飾をさげて
髪を二つに束ねて梅の簪をさす
世は戦乱の時代
武家の家に生まれた男児は戦に貢献すべし
武家の家に生まれた女児は嫁いで家と家を繋ぐべし
それでも女だって戦うのです
大事な一人娘で箱入り娘でも戦うのです
自分が良き夫と巡り会うために
「父上ってば…、こんな地図でわかるかっての!!」
武田信玄が治める甲斐の国の城下町は毎日にぎわっている
大変な人ごみなので、多少一人の人間が叫んでも解らない
―――――――――だが
「城は何処なのよー!!!!!!」
叫んでいる少女の名前は
齢16の少女
彼女が捜している城とは目の前にそびえたつ城のことで
彼女が城を捜索し始めてから早、2時間経過する
つまり、は極度の方向音痴
東西南北は勿論、真っ直ぐに進むだけならまだしも
左や右に曲がるとなると混乱してくる
「お嬢さん、お嬢さん」
「やっと道案内してくれるやつがきたか、タコ」
「え?」
「あ、あら?コホッ、何か御用ですか?」
にっこりと笑みを浮かべて後ろを振り向くとそこには一人の青年が立っていた
「いい着物着てるね。何処かのご息女さん?」
「チッ、クズか…」
ぼそりと呟いた一言を聞き取れなかったのか、男は疑問を浮かべている
は音をたてて傘をとじ、男に向かい合った
「道に迷ったのですわ、道案内をお願い出来ないかしら?道案内を!」
語尾を強めたことで男は眉間に皺を寄せたが、
腕をの肩に回して歩き始めた
「何処までいくの?」
「もう結構ですわ。私一人で行けますから」
「いいから、いいから」
の細い腕は男に掴まれていてそれが不快感を呼んだ
春に吹く甘くて暖かい風が吹いてきても、何も感じなかった
路地裏につくとは傘を地面に突き刺した
「そろそろ離してくれる?お兄さん!」
言葉と同時に男の右頬にの拳が炸裂した
おそらく歯がかけたであろう
バキっという音が響いてドサリと男が倒れる
一丁上がりとばかりにパンパンと手を叩いた時、足に僅かな痛みがはしった
視線を下におとすと足からは血が流れ、少し横に目をながせば刃物が落ちていた
「物騒な世の中ね…」
ひょいと、刃物を拾い上げるとそっと男の手に握らせておいた
「やっぱり証拠隠滅が良策よね」
気分は清清しく、ズキズキと痛む足をひきずりつつ表通りに出た
「やっだぁ!もう!目の前にあるじゃない!」
城下町に並ぶ店をぬけると目の前に城がそびえたっていた
「すっかり遅くなったわね…。急がなくちゃ」
足を速めようとすると急激な痛みが足にはしり、はゆっくりとしゃがんだ
「やっぱり止血した方がいいかしら…」
人がいないことをいいことにぺらりと裾をめくって足を見ていると声が聞こえた
「は、破廉恥でござるっ!!」
「は?」
顔をあげるとそこには一人の男
全身赤で目に痛いが、顔立ちは立派できり、としている
「ふ、婦女子が道の真ん中でそ、そのような格好を…破廉恥でござる!!///」
「破廉恥と思える心があるなら手の一つぐらいかして頂けます?」
顔を更に赤らめる男には淡々とした様子で話した
そんなに安心したのか、男は一つせきばらいをしてに向き直った
「怪我をしていらっしゃるのか…!」
「大したことありません」
立ちあがろうとするを男がとどめる
「し、失礼する」
の傷を見ると懐から出した布で血をぬぐい、新しい布で止血をした
「布、たくさん持ってるのですわね」
「す、すまない!」
「いえ、別に責めているわけでは…」
呆れたように男を見つめると男は益々顔を赤くさせた
「で、では某はこれで…!」
「あ、どうもありがとうござ…」
言い終わる前に走り去って行く男には無言で見送った
男が一目散に走って行った場所は、が目指していた城
そのことは多少気になったが、今はそんなことをしている場合ではないと気付く
はすくと立ちあがると傍に置いた傘を持ち直し、城門前に立った
ゆっくりと大きく息を吸って吐く
血が滲んだ足はまだ痛かったが、これから起こることには匹敵すまい
冬を告げる風がふいた
は再び口を開くと遠く離れた所で警備をしている門番に告げた
「私は、家の息女、に御座います。どうか武田信玄様にお目とおりを」
ゆっくりと、しかし確実に開く城門
それはの中で小さな花がつぼみをつけるカウントダウンのように思えた
アトガキ
ようやくBASARAの連載が始まりました!
新感覚ヒロイン!(私的には)
美人設定というのも始めてですが、箱入りでしかも力持ち!という設定
さてさて、どういう風に展開していきましょうか・・・。